第6回 探索と進化――動きながら住宅受注の勝ち筋をつくる

コラム

「グリーンショップを開いたら、本当に反響が来るんですか?」

セミナーでよく聞かれる質問だ。

正直に言う。最初から確信を持って始めた経営者は、ほとんどいない。

山形県 M建設の社長も、最初はこう言っていた。「グリーンショップのイメージが、正直よくわからなかった」

でも今、住宅受注が生まれている。外構リフォームの相談も来ている。スタッフは「グリーンショップが、うちの圧倒的な独自性だ」と言っている。

何が変わったのか。

正解を先に知ろうとするのをやめて、動き始めたことだ。

エフェクチュエーションとは何か

経営学者サラス・サラスバシーは、優れた起業家の思考プロセスを研究して、こんなことを発見した。
エフェクチュエーションについて、わかりやすい解説はこちらから

成功する起業家は「ゴールを決めてから逆算する」のではなく、「今あるものから始めて、動きながらゴールを見つける」という思考をしている。

これを「エフェクチュエーション」と呼ぶ。

意味を一言で言い換えると、こうなる。

「正解を探してから動くのではなく、動くことで正解が見えてくる」

一般的な経営の発想はこうだ。 ゴールを決める→計画を立てる→実行する

エフェクチュエーションはこうだ。 今あるものを確認する→まず動いてみる→反応を見る→動きながら方向を決める

M社長が歩んだ道
山形県 M建設のM社長は、最初からグリーンショップの完成形を描いていたわけではなかった。

セミナーに参加した。実際に動いているパートナーの店舗を視察した。真崎と対話を重ねた。

その繰り返しの中で、少しずつ見えてきた。

「庭に興味関心のある層が集まる。その中に、住宅ニーズを持つ人がいる」

頭で理解したのではなく、腹で納得した。これがエフェクチュエーションの「動きながら見えてくる」状態だ。

ショップを開いてからも、発見は続いた。住宅受注が来た。外構リフォームの相談が来た。「社長のキャラとショップが、反響を生んでいる」とわかった。

最近スタッフにこんなことを聞いた。「うちの強みは何だと思いますか?」

答えはこうだった。「グリーンショップです。地元の工務店では、この世界観は展開できない。これが圧倒的な独自性だと思います」

動いた先に、スタッフ自身が強みを発見した。これもまた、エフェクチュエーションだ。

「Bird in Hand」という原則

エフェクチュエーションには、いくつかの原則がある。その中で最も重要なのが「Bird in Hand(手の中の鳥)」だ。

「藪の中の二羽より、手の中の一羽」

今、自分が持っているもの——土地、スタッフ、地域との縁、経営者の世界観——から始める。ないものを嘆くのではなく、あるものを起点にする。

ビレッジ戦略の出発点は、いつもここだ。完璧なショップの設計図を描いてから動くのではない。今ある土地に、今いるスタッフで、まず開いてみる。

動いてみると、見えてくることがある。その反応を受け取りながら、少しずつ形にしていく。

今日から始められること

「正解がわからないから、まだ動けない」

この言葉をよく聞く。でも、正解は動いた先にしかない。

M社長が最初に持っていたのは、「よくわからない」という正直な感覚だけだった。

でも動いた。視察した。対話した。また動いた。

その積み重ねの先に、「グリーンショップが圧倒的な独自性だ」とスタッフが言う会社が生まれた。

あなたは今、何を「手の中の鳥」として持っていますか。


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真崎 健(まさき たけし)
株式会社エスティナ/株式会社Birth&Rebirth
代表取締役
ビレッジ戦略提唱者